ジャンクで購入したLo-D HMA-8300の中身を観察してみた。最近いじっていたプリメインアンプに比べると至ってシンプルで、レギュレーター部とアンプ部は1枚の基板にまとめられている。それ以外はメーター基板だけだが、大きなメータの背後に貼りつけるように取り付けられた基板は部品数に比べかなりのサイズになっている。これはこれでメーターと一体化させるためのデザインであり、考慮された結果である。
DSC_2244(アンプとレギュレーターが一体化)
このアンプも終段を可変電源とし、高出力時のみ高電圧駆動する方式をとっている。日立は「ダイナハーモニー方式」と名付けているが、入力信号のレベルが一定以上になるとシリーズに繋がれた終段が駆動し、合わせて高出力が得られるというもの。低出力時の電力損失を抑えられ、高出力時もシリーズ接続の終段で分圧されるため、そこそこのトランジスタで間に合うということらしい。そんな工夫があるにもかかわらず、片チャネル16個のトランジスタでシンプルに構成されている。
引き続き中身を確認すると、旧オーナーによる改造の跡が見られる。まず、アンプ基板上の終段へのコネクターが外されている。そのコネクターを接続する基板上のピンは醜くサビている。全体的にコネクタピンのサビは酷い。あまりの状態なので、工作用のハンディールーターに柔らかめの金属ブラシを付けて磨き、本日届いたサンハヤトの「接点ブライト」やアルコールを使い念入りに磨いておいた。これで接触不良になることは無いだろう。
DSC_2246(苦労して磨いたピン)
それと、2段目の電圧増幅段にはアルミ板をヒートシンクとして取り付けてあるが、どこからか持ってきたと思われるヒートシンクが追加されていた。最初は標準仕様かと思ったが、外してみると元のトランジスタが取り付いていた場所にシリコングリスとマイカ板が残っているし、苦労してフィンを加工した後もあった。
DSC_2247(とってつけてあった(?)ヒートシンク)
これほどのヒートシンクを追加しないといけないほど発熱が酷いなら、最初から着けてあるはずだが要注意である。
あとは、バイアス調整部に配置されている電解コンデンサが基板上に無かったりする。回路図上では10μFと22μFがパラってあるのだが、基板上には10μFしか着いていなかった。旧オーナーも修理しようとして頑張ったが、いろいろあって諦めたのかもしれない。
ざっと確認したところ、上記の電解コンデンサ以外ではヒューズ抵抗が片側5個中3個やられているようだ。標準タイプなのでいつもの海神無線さんに手配しようと思ったが、通販も店休のようで連休明けを待つしかなさそうだ。
アンプ内部で大きさに驚いたのが3つある。一つ目は電源トランス。なにしろ9kgあるらしい。
DSC_2249(手前の電解コンデンサもデカいから実感ないが。。。)
2番目が電解コンデンサ。直径が75mm、高さが150mmくらいある。これまで目にした中で最大級である。容量は18,000μF/63Vのデュアル1本と、10,000μF/125Vの2本だ。後者の容量は平凡だが、125V耐圧のせいでサイズがバカでかくなっている。
DSC_2248(このサイズが3本並ぶと壮観!)
3番目はスピーカー保護リレー。これまでのアンプは松下やらオムロンの小型リレーが使われている例が多かった。しかし、こいつは違う。ケース無し接点むき出しの巨大なリレーが電源トランスのわきに鎮座している。正確には金属カバーがかぶせてあるが、決して密閉ではないので環境の影響をかなり受けそうだ。
DSC_2243(ちょっとサイバーパンクっぽい容姿)
なにしろ仕様は定格電流AC15A、サージはその4倍というから凄まじい。4Ω負荷で定格の200Wなら7Aだから、かなり余裕を持ったスペックという気はする。
もうひとつ、基板で気になったことがある。よく見るとシルクに同じ部品番号が記されているところがある。非常に紛らわしい。回路図とよく見比べれば判りはするのだが、勘弁してほしいケースだ。もちろんクレームを出せるわけではないが。。。
DSC_2245(同じ部品番号が近所に。。。)
ヒューズ抵抗が入手できるのは恐らく早くて1週間後。それまでこいつの修理は保留である。